いぼについて

春も終わりそろそろ梅雨かなと思ったところ、いきなり真夏日がつづいた今日この頃ですが、みなさまの皮膚のコンデションはいかがでしょうか?
さて今回は“いぼ”という皮膚病について書きたいと思います。 よく外来診察をしていますと患者さまから「いぼができました」という言葉をいただきますが、そもそも“いぼ”とはどういうものか?
“いぼ”とは、表面にできた突起物をさす俗語であります。われわれ医師の間では、疣贅(ゆうぜい)という言葉が使われます。ですがこの疣贅の中にも実は、たくさんの種類があるのであります。その多くはウイルス性のものが多く、診察で医師が“いぼ”というと、多くがこのウイルス感染によってできるウイルス性疣贅と考えてよいかと思います。

ウイルス性疣贅の種類

  1. 尋常性疣贅(じんじょうせいゆうぜい):尋常性とは“ありあふれた”とか“ふつうの”とかの意味です。ですから、もっとも診察で多くみられる“いぼ”です。
  2. 扁平疣贅(へんぺいゆうぜい):皮膚からの盛り上がりがあまりない“いぼ”です。青年性扁平疣贅とも言います。原因としては、髭剃りなどによる小さな傷、状態の悪いアトピー性皮膚炎などが考えられます。
  3. 足低疣贅(そくていゆうぜい):尋常性疣贅の一種ですが、足底は角質が厚く、絶えずふみつけられるためか皮膚にめりこんでおり、治療は難治です。 よくこの”いぼ“と間違われるものに、ウオノメ(正式名鶏眼(けいがん)と言います)やタコ(正式名胼胝腫(ベンチ腫)と言います)がありますが、これらはウイルスとは関係なく、履物が合わないなど、皮膚の一定部位に摩擦や圧迫などの異常刺激の繰り返しで、出現いたします。
  4. 指状・糸状疣贅(しじょうゆうぜい);これも尋常性疣贅の仲間ですが、顔や頭にできた場合は、指をすぼめた手に見えるものが指状疣贅、更に細かいものを糸状疣贅と呼んでいます。

    その他に、外陰部や肛門に生じるもので、尖圭(せんけい)コンジローマなる“いぼ”もあります。これは、性感染症の一種であります。 また、“いぼ”と呼ばれるものの中で紛らわしいものに、“みずいぼ”(正式名伝染性軟属腫(でんせんせいなんぞくしゅ)があります。これは、ウイルス感染でできるところは、ウイルス性疣贅と似ておりますが、伝染性軟属腫ウイルスという全く別のウイルスが原因です。形としては、てっぺんが少しへこみのある小さな盛り上がりです。表面がツルツルして水様の透明感のあることから“みずいぼ”と呼ばれています。 ウイルス性とは違うものですが、外来でよく高齢の患者さまより「この“いぼ”とって」と言われるものに、老人性疣贅、別名脂漏性角化症なるものもあります。中高年の頭や顔、背中や胸に多い良性腫瘍の一種です。

    以上、述べましたように、“いぼ”とはわれわれ医師の間では、主にウイルス性のもを指しますが、世間一般で“いぼ”と言われるものの中にはそうでないものも含まれることが理解していただけたでしょうか? また、その治療が、液体窒素や電気焼灼などの外科的処置、サルチル酸外用薬や尿素軟膏による外用療法やヨクイニンの内服療法から、それぞれの患者さまに、適したもので治療を行っております。
    気になる方は、くれぐれも素人判断せず、医師の診察を受けましょう。

    保湿剤の重要性について

    アトピー性皮膚炎において、かゆみによるスクラッチ(掻破)行動を我慢することは、なかなか至難のワザであります。人はかゆみが起これば自然に掻破行動を起こします。それにより、皮膚のバリア機能は悪化し、アレルギー反応をおこすアレルゲンの浸入がおこります。これを繰り返すことで、皮膚において炎症をおこす細胞が誘導されて、皮膚炎の重症化・遷延化がおこります。これを、我々皮膚科医の間では“イッチ(かゆみ)スクラッチ(掻破)サイクル”と呼んでいます。この悪循環を断つことがアトピー性皮膚炎の治療おいて重要と考えております。また、アトピー性皮膚炎ではフィラグリン遺伝子の異常、角層間脂質であるセラミドの減少、および角層内アミノ酸などの天然保湿因子の低下があることが明らかとなり、皮膚の乾燥やかゆみの原因となることもわかってまいりました。この皮膚の乾燥、ドライスキンを治療しておくことが、アトピー性皮膚炎の増悪を予防するものと考えております。もちろん、ステロイド外用剤の塗布が、第一選択の位置にあることが前提であります。
    ドライスキンの治療としては、頻回の保湿剤の外用があります。特に冬のこの時期は、アトピー体質のひとだけではなく、健常人にも必要かと思います。
    保湿剤を外用する利点のひとつは、角層の水分量を増やして乾燥を防ぐことで、かゆみの増悪を防ぎます。もうひとつの利点は、外からのアレルゲンの浸入を抑制する可能性があります。
    アトピー性皮膚炎では、汗をかくとかゆくなることがあります。自分の汗に対する過敏反応と考えられており、保湿剤の使用は、これらの汗による過敏反応を起こす物質の浸入を、防ぐ効果もあると思われます。
    さらに実験で保湿剤の使用は、皮膚の乾燥によって増加する皮膚のヒスタミン量を減少させることも明らかになっております。
    一方で、アトピー性皮膚炎を増悪させることが知られているストレスは、皮膚のバリア機能を低下させることがあるようです、アトピー性皮膚炎の治療を行っていく上で、保湿剤の外用も大切ですが、心身的にも健康であることを付け加えておきます。

    患者さまから、外用剤の塗り方についてよく質問がありますので、
    以下に図示しておきますので、ぜひ参考にしてください。

    巻き爪と陥入爪

    爪のカーブが強くなりすぎてユビの肉を巻き込んでしまう状態を巻き爪と 言います。また爪のかどが周りの肉に食い込んで炎症を起こしている状態を陥入爪と呼びます。陥入爪を起こす人の大部分は程度の差はありますが巻き爪を持っています。陥入爪になると痛いので食い込んでいる爪のかどを切る人が多いのですが、これをすると一時的に痛みは取れますが爪が伸びてくると巻き爪がさらに進んでより重症の巻き爪になり、陥入爪を再発して、ひどくなると爪の周りの肉が盛り上がって出血するようになってしまいます。

    巻き爪は先の細い靴を長時間履くことが原因になることが多いのですが、そのほか深爪やゆび先の外傷も原因になります。爪は見た目に見える部分を爪甲、その下側を爪床、さらに爪の根本の皮膚に隠れている部分を爪母と呼びます。爪母は皮膚の一部で、そこが硬くなって爪となりのびてきますが、爪母の役目は皮膚を爪に変えることだけですから,先の細い靴を履いたりして爪母に外圧がかかると容易に変形した爪になって生えてきます。

    巻き爪の根本的治療としては、以前は爪母の変形している部分をフェノールという薬物で破壊したり、爪母を削って爪を細くする手術をしたりしていました。しかしこの方法だと爪の巾が細くなってしまい、痛みは取れますが外観が見苦しくなり人前に足が出しにくくなる難点がありました。

    新しい巻き爪の治療法として形状記憶合金を爪に装着して、巻き込んで生えてくる爪を平らになおしてやる方法が考え出されました。この方法はまだ健康保険では認められていませんがなかなか良い方法です。詳細は
    http://www.tama-medical.com/
    当院でもこの治療をおこなっています。

    治療前
    治療後

    超弾性ワイヤー(マチワイヤ)を用いた巻き爪、陥入爪の治療

    料金

    初診料3,000円
    再治療1,500円
    ワイヤー1本4,000円
    処置料1,000円