尋常性乾癬に対する内服薬ソーティクツの処方始めます

乾癬とは、境界明瞭な盛り上がった紅斑と、簡単に剥がれ落ちる皮膚(鱗屑りんせつ)が特徴的な慢性皮膚炎です。皮膚症状以外にも、爪や関節にも炎症を伴うことがあります。
乾癬の原因は不明ですが、発症の関連因子として喫煙、肥満、風邪などの感染症、薬剤等が複雑に作用して発症していると考えられています。
遺伝病ではありませんが、まれに小児にも見られる事があります。

長年の研究で、皮膚の中でリンパ球などの免疫細胞や皮膚の表皮細胞がサイトカイン等、炎症を引き起こす物質を過剰に産生し、皮膚炎を起こしていると考えられています。

乾癬を発症すると皮膚や爪に病変が起こり、重症の場合は関節症状も出現し、生活の質が低下してしまう事があります。

乾癬の種類

1.尋常性乾癬

もっとも多いタイプで、紅斑、鱗屑などの皮膚症状が主症状。
皮疹は広範囲に出ることが多く、痒みが無い事もある。

2.膿疱性乾癬

乾癬の中で約1%程度にみられ、発熱、全身の倦怠感があり、全員の皮膚が赤くなり、ほぼ同時に無菌性の膿疱が出現する。
全身的な治療が必要になることがあります。

3.乾癬性紅皮症

上記乾癬から移行する事が多く、紅斑、鱗屑が全身に拡大(約8割以上)を覆うのが特徴。

4.関節症性乾癬

皮膚症状に加え、関節の腫れや痛みがあり、爪症状を効率に合併する。進行すると、関節が変形し日常生活に支障をきたします。
早期発見し適切に治療することが大切です。

これら乾癬の治療薬として効果を示してきたソーティクツ錠を、当クリニックでも処方可能といたしました。
ソーティクツ錠は、上記の1〜3に適応・効果のある内服薬です。

ソーティクツ錠の作用

乾癬が起こる仕組みとして、皮膚が刺激を受けることで、免疫細胞内にあるT Y K2やJ A Kというタンパク質が免疫細胞に指令を出して、炎症を起こすサイトカインなるものを産生します。サイトカインの指令を受けた皮膚が炎症を起こし、乾癬が現れると考えられています。
この炎症反応を抑えるのが、ソーティクツ錠です。

ソーティクツ錠が投与出来ない人

  • 重篤な感染症の人
  • 活動性結核の人
  • 過去にソーティクツの成分で過敏症のあった人

ソーティクツ錠の効果には個人差があります

ソーティクツ錠は通常、使い始めてから24週間以内に効果が得られますが、24週間内服しても効果が得られない場合には、ソーティクツ治療を継続するかは検討の対象となります。
また、注意が必要な副作用も下記の如くあります。その場合、状況を医師が確認し、総合的に継続の判断をしていきます。

治療中に注意すべき副作用

上気道感染等の感染症

身体のだるさや発熱等少しでも異変を感じたら、早めに主治医に連絡して受診をお願いします。

単純ヘルペス、帯状疱疹

単純ヘルペスは、虫刺され様に見えるピリピリとした痛みを感じる皮疹です。その多くは口唇にできます。帯状疱疹は、単純ヘルペスよみが強く、小さな水疱が身体の左右どちらか片側に出てきます。

口腔潰瘍

口内の粘膜や舌に白い膜や凹凸ができた状態です。痛みがあり食事等に影響します。味覚に障害が出たりする場合は早めに受診が必要です。

ざ瘡様皮疹(ニキビ)

毛穴に皮脂が詰まり、そこに炎症が起こる状態です。抗生剤の外用が必要ですので、触ったり潰したりせずに受診するようにしましょう。

血中CK増加(横紋筋融解症)

血中CK(クレアチンキナーゼ)の数値が上昇することがあります。 ソーティクツとの関連は明らかではありませんが、横紋筋融解症の発症例があります。
また臨床試験において、悪性腫瘍の報告もありますが、ソーティクツとの関連は明らかではありません。

内服開始に関して必要な検査

ソーティクツには身体の免疫を弱める作用があるため、結核等の感染症やその他の副作用に注意が必要です。
内服開始前、内服中の定期検査を行いましょう。

血液検査

感染症の有無、治療中の副作用の早期発見のために行います。 特に結核、B型肝炎、C型肝炎の検査が推奨されます。

尿検査

腎機能の評価や尿路感染症の有無の確認のために行います。

画像検査(胸部X線、胸部CTスキャン等)

結核や、副作用として懸念される間質性肺炎等の肺疾患の有無を確認するために行います。

ソーティクツの服用方法

1日1回(食事の前でも後でもかまいません)1錠を水またはぬるま湯で服用します。
割ったり噛み砕いたりせずに服用してください。

ソーティクツ錠の薬剤費の目安

飲み方週数薬剤費3割負担1割負担
6mg
1日
1回
2週間35,420円 10,630円3,540円
4週間70,840円21,250円7,080円
8週間141,680円42,500円14,170円
12週間212,520円63,760円21,250円
※治療を受ける方の年齢や生活状況等に応じて医療費のサポートを受けられる可能性があります。
詳しくは自治体の窓口や保険組合にお問い合わせください。

乾癬治療では皮膚症状を和らげたりすることで、毎日の生活を過ごしやすくすることを目標として進めていきます。
どのような状態になって日々の生活を送りたいのか、主治医に自分の思いを伝えましょう。
その目標に向かって治療が行われているのか、医師とコミュニケーションとをしっかりとることが大切です。

デュピクセント治療を受けたい患者様への注意点

1.デュピクセント治療を始める方は即日投与できません。

先ず予約して、後日院内で2本注射します。
その2週間後に院内で1本をご自身で自己注射します。
更に2週間後、異常がなければ自己注射分を処方します。
最大3ヶ月分(最大6本)の処方が可能です。

2.デュピクセント治療をある程度続けられ、経過が良いので中止された場合。

仮に約1年前後で症状が再燃悪化したとします。その場合、デュピクセントの処方希望で来院されても、上記手順の、院内での2本からの注射で再開となります。

3.当クリニック及び前医で、アトピー性皮膚炎に関して半年以上の治療歴(内服外用治療にて効果がない)が必要です。

また継続処方を求めて、当クリニックを受診された時、前医からの紹介状がないとデュピクセントの処方は出来ません。

4.使用した注射器は家庭で廃棄しないでください。必ず受診時に持参して、クリニックに提出をお願いします。

5.費用に関して、デュピクセント300㎎ペン型で1本53,659円、3割負担の場合は1本16,098円となります。

更に診察料・処方箋料・在宅自己注射指導管理料(1860円)・導入初期加算(1740円、開始後3ヶ月間)等がかかります。
治療が高額になるので、限度額認定証を作成しておくと医療機関の窓口での支払いを一定の金額までで抑えることができる場合があります。(年収や入っている保険によって異なります。)

マイナンバーカードを保険証と紐付けておくと、限度額認定証がなくても支払いを一定額に抑えることも可能です。
デュピクセント治療は高額になりますが、さまざまな医療費補助制度があります。

医療費助成制度については詳しくは下記サイトをご参照ください。

デュピクセント®を使用される患者さんへ|サノフィ株式会社

アトピー性皮膚炎・尋常性乾癬の両疾患に対する新たな選択肢

以前よりこのコラムでアトピー性皮膚炎(AD)や尋常性乾癬(PSO)の治療薬について書いてまいりました。
今回この両疾患おける外用薬の選択肢が、新たに増えたお知らせです。
その外用薬はブイタマークリーム(一般名タピナロフクリーム)です。
1日1回の外用で、ある程度の効果が得られる、まったく新しい外用剤です。

この外用薬の作用機序は、芳香族炭化水素受容体(AhR)を活性化することで、さまざまな遺伝子発現を調節し、それにより炎症性サイトカインを低下させ、抗酸化分子の発現を誘導して、皮膚の炎症を抑制するとともに、皮膚のバリア機能を改善します。

※AhRとは
・芳香族炭化水素受容体(AhR)は、特定の物質に結合する事で、(例えば食物や微生物、汚染物質、代謝産物等)様々な化合物によって活性化されます。
それにより、化学物質に対する防御、エネルギー代謝、細胞の発生と分化等、幅広い生理機能に関与し、さらには、免疫系において免疫応答を調節する重要な役割を果たしています。

今までのAD治療薬は、基本1日2回のものが多かったと思いますが、このクリームは1日1回塗る外用薬で、軟膏基剤とは違いベタベタ感が少ないクリーム外用剤です。忙しくて1日2回塗れないとお困りの患者様には、試していただきたい外用剤です。

PSOではステロイド・ビタミンD3の外用薬を中心に治療を行ってきましたが、これらの外用薬はそれなりの効果を出してきました。しかしながら、副作用の問題で長い間使いにくいという問題がありました。
それらの欠点を解消してくれる薬剤として、今回発売になった非ステロイド外用薬であるブイタマークリームは新しい選択肢となり得ると考えています。

ブイタマークリームの塗り方のポイントは、1日1回適量を患部に塗ります。すり込まず、優しくのばすように塗りましょう。 皮膚がテカる程度が、薬の効果を発揮できる塗り方です。

副作用は以下の通りです。
・毛包炎(吹き出物)
・接触皮膚炎(かぶれ)
・ざ瘡(ニキビ)

上記以外にも、AD・PSOの悪化、刺激感、頭痛等が報告されています。
是非使ってみたい患者様、気になる症状がある方は、我々皮膚科医ご相談ください。

世界初、目の痒みに1日1回のクリーム剤登場

秋になって、朝夕の気温差が出てまいりますと、目の痒み、いわゆる結膜炎がでてくる方も多いかと思います。
かく言う私も、その一人です。
この様な症状には、抗アレルギー剤配合の点眼薬を1日数回さしたりしますが、日常生活の中で決まった時間に、なかなか点眼ができないのが現状かと思います。
その状況を改善してくれる新しい薬剤が、処方可能となりました。
世界初、目の痒みに1日1回のクリーム剤、アレジオン眼瞼クリーム0.5%が登場いたしました。

その特徴ですが、1日1回(眠前がおすすめかと)、眼瞼皮膚に直接触れながら塗布する、クリームタイプのアレルギー性結膜炎治療薬です。
本剤を眼瞼皮膚に塗布した時、有効成分であるエピナスチンは眼瞼皮膚を通過して眼球・眼瞼結膜に分布し、塗布後24時間後も薬剤は患部に留まるとのことです。

スギ花粉抗原を用いた結膜抗原誘発試験で、アレルギー性結膜炎の平均掻痒スコア及び充血スコアを観察したとこ、プラセボ眼瞼クリーム剤に比べて有意に抑制したと実証されました。
また長期投与試験(8週間)において、自覚症状及び他覚所見は、投与開始時に比べて有意なスコア減少を認めました。

気になる副作用は、試験においては、124例中2例(1.6%)に認められ、その内容は、眼瞼の痒み2例(1.6%)及び眼瞼の赤み1例(0.8%)です。
この副作用は、投与中止後に無治療で回復したとのことです。
結論としては、重篤な有害事象は認められなかったと言うことであります。

アトピー性皮膚炎に合併した結膜炎、アトピー性皮膚炎において、劇的な治療効果をあげているデュピルマブの副作用である結膜炎に、強い味方が登場したと思っております。
気になる方は、一度近くの医療機関にご相談ください。

手汗でお悩みの方に朗報です

以前脇汗(原発性腋下多汗症)でお悩みの方に、塗り薬があることをご紹介しましたが、この度、手のひらである手掌の多汗症に効くお薬が発売になりました。

その名はアポハイドローションであります。
この外用剤は、1日1回就寝前に、手のひらに直接塗布して使用する「日本初の原発性手掌多汗症治療剤」です。

試験でテスト用紙が汗で湿って、最悪の場合、用紙がやぶれてしまう人、手汗がひどく人と握手するのに抵抗がある人、球技などのスポーツ大会で手汗により滑ってしまう人等は、適応かと思います。

しかしながら、以下の人には禁忌となります。

  1. 閉塞隅角緑内障の方(抗コリン作用により眼圧が上昇して、症状が悪化する可能性あり)
  2. 下部尿路閉塞疾患(前立腺肥大等)による排尿障害のある方(抗コリン作用により排尿時の膀胱収縮が抑制され、症状が悪化するおそれがあり)
  3. 重篤な心疾患のある方(抗コリン作用により頻脈、心悸亢進をお越し心臓の仕事量が増加するおそれがある)
  4. 腸閉塞又は麻痺性イレウスのある方(抗コリン作用により胃腸の平滑筋の収縮及び運動が抑制され、症状が悪化するおそれがある)
  5. 重症筋無力症の方(抗コリン作用により筋緊張の低下がみられ症状が悪化するおそれがある)
  6. 本剤の成分に対して過敏症の既往のある方

上記に該当するものがなければ、我々医師からの処方は可能と考えます。
使用方法は以下の通りです。

  1. お薬を塗る前に、手のひらの水分等をよくふき取ります。
  2. 手のひらにお薬を適量出してください。(一日分の目安は5プッシュです)
  3. 左右の手のひらに均等に塗り広げます。
  4. お薬を塗ったまま、就寝します。
  5. 起床後は、手を流水でよく洗います。

薬の効果ですが、国内第Ⅲ試験(12歳以上の日本人患者)において、
投与4週後に発汗量が50%以上改善した方は、プラセボ群と比較して優位に高く、アポハイドローションの優越性が検証されました。

手汗で悩んでいる方、一度我々皮膚科医にご相談下さい。