今年は、日本中猛暑ですが、この東海地方では格別に暑いと思われます。その為か子供の皮膚炎が増えている印象があります。なかでも『とびひ』の状態になった子供が多いです。おそらく、子供達は学校等の行き帰りで汗をかいたり、虫に刺され、それを掻きやぶり、やがて二次感染を起こすからでしょう。そもそも『とびひ』は正しい名前を『伝染性膿痂疹』という、子供に多い皮膚病です。
『とびひ』なったところを触った手でほかの場所を掻くために、全身に広がる(飛び火!)病気です。他の子にうつる可能性もあります。以前は、夏に多い病気でしたが、近年は、暖房器具の普及や温水プールなどにより、冬でも見られるようになりました。今回は、その『とびひ』の話です。
どんな症状があらわれるの?
『とびひ』は、水ぶくれができるタイプとかさぶたになるタイプがあります。最初は、手足や顔に小さな水ぶくれができ、それがだんだん大きくなって、卵くらいの大きさになることもあります。水ぶくれは簡単に破れて、皮が赤くむけてジュクジュクしてきます、そこから、かさぶたをのせた状態になり、拡大したりします。水ぶくれの中の液やびらん部の液は、自分の他の部位や他の子につくと、うつるので注意しましょう。
どうして『とびひ』になるか?
水ぶくれのできるタイプは主に、黄色ブドウ球菌という細菌が原因です。一方、かさぶたのできるタイプは、主に溶連菌という細菌が原因です。健康な皮膚は、表皮というバリアで守られているので、細菌が感染することはありません。しかし、虫刺されやあせもや湿疹などを掻いて、小さな傷ができたり、転んでできた傷などがあると、そこから細菌が皮膚に入り込んで『とびひ』を引き起こします。
『とびひ』はどうしたら治る?
『とびひ』かなと思ったら、早めに皮膚科に行きましょう。病院では、通常、細菌を抑えるための飲み薬と塗り薬が処方されます。また、かゆみが強い場合はそれに対しての薬が出ることもあります。処方された薬は、指示どおりに内服外用していきましょう。だいたい3~4日くらいで患部が乾いていきます。そうでない時は、もう一度、病院を受診することをおすすめします。また、よくなったと自己判断して、勝手に薬をやめると再発する恐れがあります。必ずお医者さんに経過を報告し、次の指示をもらうようにしましょう。
よくある質問
お風呂はどうしたらいい?
患部を清潔にたもつために、石鹸で患部をこすらないように丁寧に洗うことは、大切です。そのさい、シャワーやかけ湯で洗い流すほうがいいでしょう。患部が乾くまで、湯船につからないようにしましょう。また、『とびひ』の子の使ったタオルなどは、他の子は使わないようにしましょう。
保育園や幼稚園は行ってもいい?
症状によりますが、きちんと治療をして、患部を包帯やガーゼなどでおおって、他の子にうつさない工夫をすれば、登園・登校はできる場合もあります。
プールに入っていい?
これも症状によりますが、患部が乾くまでは、悪化したり他の子にうつす可能性がありますので控えましょう。詳しくは、医師に相談しましょう。
『とびひ』は、アトピー性皮膚炎、虫刺されやケガなどの治療をきちっと行わない場合にかかりやすい皮膚病です。『とびひ』の原因菌の多くは、鼻の中に潜んでいます。指で鼻の中をいじった手などで、湿疹や虫刺されをかきむしると、『とびひ』がおこりやすくなります。ふだんから、爪はきちんと切り、外出後は手洗いをおこなうように勤めましょう。
気候も急に暖かくなり、今年は早々に桜が満開になりました。みなさまの皮膚の状態はいかがでしょうか?
今回は、発汗が増加する時期に多い異汗性湿疹、別名汗疱についてのお話です。
この皮膚炎は、主に季節が暖かくなる時期に手のひら、手指、足の裏、足の指に痒みを伴う小さな水ぶくれや、皮膚がめくれてくる皮膚炎です。2~3週間で自然に軽快をすることもありますが、増悪軽快を繰り返し慢性化する人がよく見られます。患者さんはよく“水虫が出来た”と来院されることが多いです。
原因は、別名汗疱と呼ばれるぐらいですから、汗に関わるものと考えていましたが、病理組織学的には、水ぶくれと汗を出す管(汗腺)との間には連続性は無く、いわゆる湿疹性変化であることから、汗腺の関与は否定されております。しかしながら、その一方で、発汗が増加する初夏から症状が出現することや、いわゆる多汗症を併発することが多いことから、発汗は本症の悪化要因の一つである可能性は高いと思われます。稀に、細菌感染等により強い疼痛を伴う例もあります。
診断は主に肉眼で行ないます。一般的に血液検査・尿検査に異常はありません。
鑑別に必要な皮膚病は、水虫(白癬)や掌蹠膿疱症があります。白癬は、顕微鏡で白癬菌の有無を確認します。掌蹠膿疱症は、無菌性膿疱など症状の出現に季節性が無いことです。また、外的因子により皮疹が生じていれば、それはアレルギーによる接触皮膚炎の可能性があります。
治療の基本は外用療法であります。皮膚の乾燥状態が強い場合は、へパリン類似物質、尿素軟膏を外用し、水泡の出現が強いときや湿疹性病変を伴っているときは、ステロイドの外用を主体とします。足の裏では軽皮吸収が悪いので、強めのステロイド外用薬を用います。びらんなど浸出液の多い部分には、亜鉛華軟膏をステロイド外用薬の上に塗布します。多汗症がベースにある人は、10%塩化アルミニュウム液の外用が有効です。強い痒みのある人は抗ヒスタミン薬の内服を併用いたします。重症例ではステロイドの内服をして頂くことも在ります。
生活指導としては、発汗が強い人は手足が蒸れないように、タオルの携帯や靴下の適宜交換を指導しております。
※本年4月に、診察報酬が改定されましたので、患者様におかれましては、従来の窓口での支払額にくらべ、差額が生じることがございますのでご了承ください。
今シーズンの冬は、強い寒気による寒冷刺激の為か?例年より乾皮症や皮脂欠乏性湿疹が多く見受けられます。
乾皮症とは、加齢などにより各層の水分保持に重要な天然保湿因子や皮脂などが減少し、皮膚が乾燥した状態であります。高齢者でなくても、清潔嗜好で入浴時に過剰に洗う(擦る)人、居住環境が乾燥しやすいことなどで乾皮症は起こります。このような状態が放置されると、外的な刺激を受けて炎症を起こしやすくなります。炎症を伴う状態を皮脂欠乏性湿疹と言います。また、アトピー性皮膚炎患者さんの皮膚も同様な状態にあると考えます。
治療の第一は、乾燥を防ぐことが重要であります。保湿剤で皮膚の乾燥を防ぎ、炎症を伴う部分には副腎皮脂ステロイド外用薬を併用します。また、痒みが強く著しく眠れない場合は、抗ヒスタミン剤(痒み止め)の内服をします。以上のようなことをふまえて、外用療法の指導をしていくのですが、時々言われるのが、一人暮らしなどの理由で、背中の外用がうまくできないという声です、特にご年配の方からの声が、多いと思います。この悩みを解消するのが、『一人背塗り』にとことんこだわった、“塗るまごの手”セヌール®Rです。
手の届きにくい部位にも、楽にクリームやローションを塗り伸ばすことができる大変便利なアイテムです。そのセヌール®Rを、当クリニックでも販売を開始しました。家族の人に頼みにくい、一人暮らしなので背中に上手に塗れないなど、悩みのある方は、是非ご相談下さい。
この度、帯状疱疹(たいじょうほうしん)に対して『アメナリーフ錠』という内服薬の処方が可能になりました。この薬は、日本で創製されたお薬です。
従来の帯状疱疹のお薬は、1日5回ないしは、3回内服しておりましたが、このお薬は1日1回投与で十分に効果のあるお薬です。では帯状疱疹とは何か?ご存知の方もおられると思いますが、この機会にお話したいと思います。
帯状疱疹の特徴は:身体の左右どちらか一方に、ピリピリとさすような痛み、これに続いて赤い斑点及び小さな水ぶくれが帯状(おびじょう)に現れる病気です。帯状疱疹は、過去に感染した“みずぼうそう(水痘)”のウイルスである水痘・帯状疱疹ウイルス が、身体の中に潜んでおり、体が疲れたりして免疫力が落ちた時に、そのウイルスが再活性しておこります。ですから、誰でも帯状疱疹になる可能性があります。
発症年齢:60歳を中心に比較的に高年者に見られる病気ですが、若い人でも過労やストレスが原因で発症することも珍しくありません。通常は生涯に1度しか発症せず、免疫力の低下している患者さんを除くと再発する可能性は低いと言われています。
主な発症部位:身体の左右どちらか一方の神経に沿って帯状に現れます。胸から背中にかけて出現することが多く、全体の約6割が上半身に発症しております。また、顔面(特に眼囲)も発症しやすい部位です。
経過:赤い斑点の現れる数日前から、皮膚の違和感やピリピリ感などの神経痛(神経においてもウイルスが増殖して炎症が起こっているため)を伴うことがあります。その後、強い痛みと伴に身体の片側に沿って、帯状のやや隆起した赤い斑点が現れます。つづいて赤い斑点上に水ぶくれ(水ぶくれの大きさは栗粒大~小豆大で、中央部にくぼみが見られます)が現れ、その水ぶくれは、やがて破れてただれた状態になり、かさぶたへと変化します。皮疹が治ったあとも、後遺症として帯状疱疹後神経痛という、やっかいな痛みが残ることもあります。
後遺症:発熱や頭痛が見られるこちがあります。また、顔面の帯状疱疹では、角膜炎や結膜炎などを起こすこともあります。その他、まれに耳鳴りや難聴、顔面神経マヒなどがあります。
治療は、最初にお話した抗ヘルペス薬(アメナリーフ等)を中心におこなわれます。このお薬はウイルスの増殖を抑えることにより、急性期の皮膚症状や痛みなどをやわらげ、治療までの期間を短縮します。さらに合併症や後遺症を抑えることも期待されます。また、痛みに対して、消炎鎮痛剤が使われたり、強い痛みがつづく場合は神経ブロックという治療が行われることがあります。
日常生活の注意点として以下の項目があります。
●出来るだけ安静を心がけましょう。
●患部を冷やさないようにしましょう。
●水ぶくれは破らないように気をつけましょう。
●小さな子供との接触は控えましょう。
※帯状疱疹は早期に適切な治療を行うことで、症状を軽くし、合併症や後遺症である帯状疱疹後神経痛のリスクを減らすことができます。
帯状疱疹かなと思ったら、はやめの皮膚科受診をしてください。
この度、わが国において初めてとなる、ステロイド剤であるクロベタゾールプロピオン酸エステルを有効成分とする『頭部の尋常性乾癬』の治療用シャンプー外用薬(コムクロシャンプー)が処方可能となりました。
特徴
乾いた頭皮に使用するシャンプー用外用剤
使用方法
STEP1
- 広げた手のひらに、お薬(シャンプー)を出します。
(使用量の目安は500円玉3枚分です)
- 手のひらからお薬をとり、皮診のある所に塗ってください。
- 頭 皮の皮疹部全てに塗れるまで1.~2.を繰り返してください
(万が一、目に入ったり、まぶたについた場合はすぐに水で洗い流してください)
- すべての患部に塗り終わったら、爪を立てずに患部を軽くマッサージして下さい)
最後に手をよく洗いSTEP1は終了です。
STEP2
お薬(シャンプー)を塗ってから、15分間そのまま待ちます。
STEP3
お湯または水をかけて、爪をたてずにやさしくよく泡立てます。
(ゴシゴシ洗いはNG!乾癬では、こすったり掻くという行為は、症状を悪化させますので、爪を立てないように注意しましょう)
STEP4
流し残しのないよう頭皮、手、全身を十分に洗い流します。
(洗い流す際、お薬が目に入らないように注意してください)
(コムクロシャンプーを洗い流すために、ほかのシャンプーを使用する必要はありません。髪の毛のお手入れのために追加でほかのシャンプーやリンス等を使用しても構いません)
以上使用方法の流れです。頭皮の乾癬がひどい患者さんは、ステロイド剤の長期外用による副作用の心配等があつたと思いますが、このシャンプーという発想によりいくらか副作用が軽減されると確信しております。