当クリニックも『いけや皮フ科クリニック』から『おばた駅皮フ科クリニック』に名称変更をして、1ヵ月経ちましたが、今のところ(この原稿を書いている時点で)大きな混乱もなく、みなさまに受け入れられたかと思います。今後も地域の皆さまに、お役に立てるようにがんばりたいと思います。
今回は赤アザの話をしようかと思います。赤アザは、『血管腫』と言われ、皮膚の血管が増殖・拡張してできます。生後より、見られるものがほとんどであります。その形状は、平らなものから隆起したものなど、さまざまであります。代表的なものをあげると、「イチゴ状血管腫」「サーモンパッチ」「ウンナ母斑」「単純性血管腫」などです。今回の話にでる赤アザは、主に「イチゴ状血管腫」になるかと思います。
乳児などに見られる赤アザは、20年ほど前は経過観察、10年前はレーザーなどの外科的な治療が主流でしたが、ここ2~3年は、内服薬で治療する時代になってきたようです。一部の施設(大学病院など)では、すでに始めていた治療ではありますが、現在では保険適用のある薬もあり、これからメジャーになっていくかと思います。
赤アザの自然経過としましては、増殖期、退縮期、消失期に分けられます。
増殖期は、生後2ヵ月までに急速に増大し、生後5ヶ月までにピーク時の80%に達するようです。一般的には病変の消失年齢は3歳頃と言われておりますが、後遺症が残る場合もあります。後遺症としては、表面にでこぼこが残ったり、色が白く抜けたり、シコリやシワ、たるみなどがあります。後遺症の割合は諸説ありますが、25~92.9%と報告自体にばらつきのある状態です。赤アザの消失後に、皮膚のたるみといった後遺症を残さないためにも、腫瘤が増大し皮膚が伸びきってしなう前の早い時期に、治療を開始することが重要です。治療の進歩により、最近では後遺症としての皮膚病変が残るのを軽減することが可能になって来ました。治療に迷われる場合は、なるべく早めに、専門医のいる施設に紹介する必要があると考えます。
専門医への紹介が強く勧められる症例として、以下の場合が考えられます。
- 生命や機能を脅かす合併症を伴う血管腫
- 潰瘍を形成している、または可能性の高い血管腫
- 増殖が急激な血管腫
- 顔面の広い範囲にある血管腫
その他腫瘤を形成しているものや、露出部にあるものも専門医への紹介を検討すべき症例と考えられます。
治療としては、最初に述べたように、従来はレーザー治療が主体でしたが、新しい治療法として、もともと心臓病などに用いられるプロプラノロールというお薬の内服治療法です。特に顔面、広範囲の症例では、隆起が弱くても、プロプラノロールの早めの治療が必要と考えられています。このお薬の初回投与時や増量時は、安全を考慮して小児科医との連携のもとで、行うことが必要なので、外来管理よりは入院管理になる事が多いようです。
当クリニックでもアザが気になる方、治療を希望される方を、専門医のいる施設に紹介しております。気になる方はご相談ください。