以前脇汗(原発性腋下多汗症)でお悩みの方に、塗り薬があることをご紹介しましたが、この度、手のひらである手掌の多汗症に効くお薬が発売になりました。
その名はアポハイドローションであります。
この外用剤は、1日1回就寝前に、手のひらに直接塗布して使用する「日本初の原発性手掌多汗症治療剤」です。
試験でテスト用紙が汗で湿って、最悪の場合、用紙がやぶれてしまう人、手汗がひどく人と握手するのに抵抗がある人、球技などのスポーツ大会で手汗により滑ってしまう人等は、適応かと思います。
しかしながら、以下の人には禁忌となります。
- 閉塞隅角緑内障の方(抗コリン作用により眼圧が上昇して、症状が悪化する可能性あり)
- 下部尿路閉塞疾患(前立腺肥大等)による排尿障害のある方(抗コリン作用により排尿時の膀胱収縮が抑制され、症状が悪化するおそれがあり)
- 重篤な心疾患のある方(抗コリン作用により頻脈、心悸亢進をお越し心臓の仕事量が増加するおそれがある)
- 腸閉塞又は麻痺性イレウスのある方(抗コリン作用により胃腸の平滑筋の収縮及び運動が抑制され、症状が悪化するおそれがある)
- 重症筋無力症の方(抗コリン作用により筋緊張の低下がみられ症状が悪化するおそれがある)
- 本剤の成分に対して過敏症の既往のある方
上記に該当するものがなければ、我々医師からの処方は可能と考えます。
使用方法は以下の通りです。
- お薬を塗る前に、手のひらの水分等をよくふき取ります。
- 手のひらにお薬を適量出してください。(一日分の目安は5プッシュです)
- 左右の手のひらに均等に塗り広げます。
- お薬を塗ったまま、就寝します。
- 起床後は、手を流水でよく洗います。
薬の効果ですが、国内第Ⅲ試験(12歳以上の日本人患者)において、
投与4週後に発汗量が50%以上改善した方は、プラセボ群と比較して優位に高く、アポハイドローションの優越性が検証されました。
手汗で悩んでいる方、一度我々皮膚科医にご相談下さい。