毎日暑い日がつづいておりますが、皆さん体調はいかがでしょうか?猛暑がつづくと、体が疲れやすくなるものです。その結果、免疫力が落ち、夏風邪などをひいてしまいます。我々皮膚科の外来には、帯状疱疹の患者さんが気のせいか多い気がします。今回は、その帯状疱疹、特に帯状疱疹後に起こる神経痛について少しお話いたします。
- 帯状疱疹は、幼少期などにかかった水ぼうそうのウイルスが背骨の神経の中に何年も潜んでおり、ストレスなどで体が疲れ、免疫力が低下した時に発症します。帯状疱疹の症状としては、痛みと小さな水ぶくれが出現します。この症状は、抗ウイルス剤の内服で治りますが、ご高齢の方などは、皮膚の症状が消えた後も傷みが残る場合があります。これを帯状疱疹後神経痛といいます。
- なぜ痛みがあるのでしょう?この痛みは、皮膚症状が出現する前に現れることが多く、ウイルスが神経を傷つけるために起こるのです。ピリピリとした痛みで、服がすれただけでもかなりの痛みを感じます。しかし、若い人などは、夜間はよく寝れたり、何かに集中しているときは痛みを感じないことが多いようです。
- 帯状疱疹は抗ウイルス剤という決まった治療法がありますが、帯状疱疹後神経痛に関しては決まった治療法はありません。
それぞれの患者さんに合った治療法が選ばれ、組み合わされているのが現状です。また、治療を一回、二回受けたからすぐに軽快することはまれであるため、前向きに考え、根気よく治療を続けることが必要であります。
治療内容ですが、内服治療薬は三環系抗うつ薬、抗てんかん薬(ガバペチン)や抗けいれん薬(ペレガバリン)があります。現在、非ステロイド抗炎症剤(NSAIDS)は効果がないと考えられております。 持続性の痛み対策として、体性神経ブロック、イオントフォレーシス、低出力レーザー治療が行われております。(当クリニックでは施行不可能なので大学病院等に紹介しております。 - 家庭における対処法として、
入浴:体が温まり血液循環がよくなるので痛みがやわらぎます。他の病気で入浴制限がなければ、積極的に入浴することをお勧めします。
保温:寒さは痛みを増強させる為、冬には使い捨てカイロなどで保温し、夏には冷房の冷たい風は直接あたらないようにしましょう。
患部刺激:痛みに過敏になっている時は、衣服などが触れただけでも痛みを感じることがあります。痛みを感じる患部に、サラシや包帯を巻いたりしてから、衣服をきるなど工夫するとよいでしょう。ストレス・疲労:痛みが気になり、不安になり、そのストレスから痛みが増強すると言うことがあります。
痛み以外のことに気が向くように、趣味や仕事に熱中することは重要と考えます。くれぐれも、家にひとり閉じこもらないようにしましょう。
夜は睡眠を十分にとつて、リラックスするように心がけましょう。