コロナウイルスと皮膚症状

コロナウイルスによる世界的騒動も、この日本に関しては一時的な収束をみせてきました。(この原稿を書いている最中も愛知県の緊急事態宣言は解除されたようです)
このウイルスは主に肺炎を起こしてきましたが、時間の経過と共に、このウイルスは全身の血管が標的のように考えられるようになり、我々皮膚科医にも、注意しなければならない症状も報告されるようになりました。
新型コロナウイルス感染症に伴う発疹は様々なものが報告されるようになり、
その代表的なものは「コロナのつま先」と呼ばれるしもやけのような病変と、子供にみられる川崎病のような症状があります。
イタリアのある報告では20%の患者に発疹が見られたこともありますが、武漢での研究では0.2%にしか認められなかったとするものもあります。これはウイルスの変異によるものなのか、現段階では謎であります。
「コロナのつま先」に関しても、ウイルス検査では陽性になった人のみではなく、ウイルス検査で陰性の人にも同様の皮疹が見られたようです。
また、川崎病のような症状というのは、全身の発疹、手足や首のリンパ節の腫れ、目の充血、腹痛、下痢などです。川崎病は日本人の子供に多くみられ、全身の血管に炎症を引き起こすまれな疾患です。通常は、自然治癒が多い疾患ですが、1~2%に心臓の重大な合併症を生じることがあるので注意が必要です。
専門家によれば、このような病状はヨーロッパや北米の子供にしか観察されておらず、ウイルス検査が陰性で、過去の感染を示唆する抗体もない子供もいることから、全ての症例が、新型コロナウイルス感染と関連すると判断するのは、難しいようです。答えを見つけるには、患者を総合的に調べるだけでなく、検査や臨床試験へのアクセスの改善も必要だと専門家は指摘します。専門家たちは、この感染症への明らかな答えが出るまでは、屋外でのマスクの着用、念入りな手洗い(出来ればうがいも)、フィジカル(ソーシャル)ディスタンスの確保などの標準的な対策を続けることであるとしております。
当クリニックに受診される際は、マスク着用の御協力をよろしくお願いします。