気候も急に暖かくなり、今年は早々に桜が満開になりました。みなさまの皮膚の状態はいかがでしょうか?
今回は、発汗が増加する時期に多い異汗性湿疹、別名汗疱についてのお話です。
この皮膚炎は、主に季節が暖かくなる時期に手のひら、手指、足の裏、足の指に痒みを伴う小さな水ぶくれや、皮膚がめくれてくる皮膚炎です。2~3週間で自然に軽快をすることもありますが、増悪軽快を繰り返し慢性化する人がよく見られます。患者さんはよく“水虫が出来た”と来院されることが多いです。
原因は、別名汗疱と呼ばれるぐらいですから、汗に関わるものと考えていましたが、病理組織学的には、水ぶくれと汗を出す管(汗腺)との間には連続性は無く、いわゆる湿疹性変化であることから、汗腺の関与は否定されております。しかしながら、その一方で、発汗が増加する初夏から症状が出現することや、いわゆる多汗症を併発することが多いことから、発汗は本症の悪化要因の一つである可能性は高いと思われます。稀に、細菌感染等により強い疼痛を伴う例もあります。
診断は主に肉眼で行ないます。一般的に血液検査・尿検査に異常はありません。
鑑別に必要な皮膚病は、水虫(白癬)や掌蹠膿疱症があります。白癬は、顕微鏡で白癬菌の有無を確認します。掌蹠膿疱症は、無菌性膿疱など症状の出現に季節性が無いことです。また、外的因子により皮疹が生じていれば、それはアレルギーによる接触皮膚炎の可能性があります。
治療の基本は外用療法であります。皮膚の乾燥状態が強い場合は、へパリン類似物質、尿素軟膏を外用し、水泡の出現が強いときや湿疹性病変を伴っているときは、ステロイドの外用を主体とします。足の裏では軽皮吸収が悪いので、強めのステロイド外用薬を用います。びらんなど浸出液の多い部分には、亜鉛華軟膏をステロイド外用薬の上に塗布します。多汗症がベースにある人は、10%塩化アルミニュウム液の外用が有効です。強い痒みのある人は抗ヒスタミン薬の内服を併用いたします。重症例ではステロイドの内服をして頂くことも在ります。
生活指導としては、発汗が強い人は手足が蒸れないように、タオルの携帯や靴下の適宜交換を指導しております。
※本年4月に、診察報酬が改定されましたので、患者様におかれましては、従来の窓口での支払額にくらべ、差額が生じることがございますのでご了承ください。